新日本無線ー半導体インフォメーション
品質保証と信頼性
1.品質に関する基本方針
 当社は、独自性のある製品づくりに取組むと同時に、品質方針「当社は全員の創意と工夫で継続的改善に取り組みお客様に満足していただける品質の製品とサービスを提供する」のもと、お客様のニーズを先取りした、高性能、高品質で信頼性の高い、なおかつ、地球にやさしい商品づくりに努めております。
民生用・産業用を始めあらゆる分野で電子機器が普及している昨今、一つの集積回路の不具合が電子機器の故障に繋がり、更にはシステム全体に悪影響を及ぼしかねません。当社におきましても、電子機器の構成で重要な半導体集積回路に要求される品質・信頼性が益々厳しくなってきております。
そのような厳しい要求に応えるべく、当社では1994年にISO9001、1997年にはISO14001の認証を取得し、ISO9001については2001年に2000年度版での認証を取得しました。当社は、ISO9001-2000で要求される、商品企画から開発、設計、量産、出荷、市場までの一貫した品質保証マネジメントシステムの効率的な運用を目指し、環境に関しても十分な配慮をすることで、お客様に安心してご使用いただける品質・信頼性造りに努めております。
2.品質保証システム
 当社半導体の企画・開発から試作・量産・販売、またその後のサービスを含めた品質保証体系を図1に示します。
2-1 商品企画段階
 企画段階では、営業部門、商品企画部門が経営理念、品質方針をベースに、お客様のニーズとともに市場動向等を含め多角的に調査を行います。これらの調査結果に基づき、「新製品企画会議」にて、最終的な新製品開発方針を決定します。
2-2 設計・試作段階(デザインレビュー)
(1)設計段階
 設計段階では、決定された新製品開発方針に基づき、尚且つお客様との詳しい情報交換により要求される仕様を把握し、お客様の要求が十分反映されるよう設計活動を進めます。設計時は、製品が基本的性能を満たすことは勿論ですが、要求される品質・信頼性が確保されるように、CAD技術を駆使し信頼性に裏付けされたデザインルールに基づいて設計を行います。
また、設計品質については、各専門分野のスタッフにより構成されたデザインレビュー(DR)を各段階で実施し、製造技術、蓄積された実験データ及び品質情報などが有効に反映され、適切な設計がなされている事をレビューします。
(2)試作段階
 設計段階のDR終了後、決められた仕様に基づき試作を行います。試作品については、狙った性能及び品質が得られているかを評価するために特性評価、信頼性評価が行われ、これらの評価が終了した時点で各DRを実施します。
信頼性評価の方法・評価は、EIAJ ED-4701(JEITA)を基本にしています。
最終段階のDRでは製造上の工程能力、歩留確認結果、バラツキを含めた特性評価、信頼性試験結果及びお客様のES(エンジニアリングサンプル)の評価結果などを総合的に勘案した上で量産移行の可否判断を行います。
2-3 量産段階
(1)原材料の管理
 製品の品質・信頼性を確保するためには、使用する部品、材料の品質が重要な要因になります。当社では、材料部品の品質認定、購入規格の設定、受入検査の実施と共に外部業者との情報交換を密にし、品質の向上を図っています。
(2)生産工程の品質管理
 原材料とともに、製品の品質を決定する上で非常に重要なのは、製造工程内の品質管理です。当社では、作業の標準化、自動化を積極的に進めて作業バラツキを押さえ、また、標準通り作業が進められているか、品質的に問題無いかをチェックするため、工程内検査を行い製造工程の安定化に努めています。製造工程内の管理ポイントの一例を図2に示します。
(3)製造環境の管理
 半導体集積回路の製造工程内の環境は、初期品質・長期信頼性に大きな影響を与えます。当社では、温度・湿度・塵埃などを適切に保つよう管理しています。特に高品質で信頼性の高い製品づくりを実現するためには塵埃の管理が重要であり、作業室内で使用する事務用品、衣服などは特別なものを使用し、塵埃などを定期的にチェックしクリーン度の維持向上を図っています。
(4)設備の管理
 製造工程で使用する生産設備・装置の維持管理は、製品の品質・特性・信頼性に直接影響する点で、非常に重要となります。そのため、当社では設備・装置毎に、保守・点検の基準を定め、その性能維持に努めることで、特性バラツキを抑えた安定生産を確保しています。
(5)計測器の管理
 計測器の管理は、品質保証の基本であり、生産活動における計測器の維持管理は、測定値の信頼性を確保する上で重要であるため、当社の製造工程内で使用する計測器については、メーカー等や公的機関による国家標準に基づいた定期校正を実施することで、常に高い精度を維持しています。
(6)変更及び是正管理
 当社は、量産後のデザイン、工程、材料、設備等の変更については、変更管理システムに基づき実施し、変更に伴う品質問題の発生が無いよう未然防止に努めております。特に、変更内容で仕様・特性にかかわる変更については、事前にお客様の承認を得てから実施するよう徹底しております。また、工程中に発生した不具合あるいは異常に関しては、是正処置・予防処置システムに従い是正処置・予防処置活動を行い、その異常内容及び是正処置・予防処置内容等を関連部署にフィードバックすることで、再発の防止を図っています。
(7)協力会社の管理
 製品の製造を委託する場合の外注先及び購入部品・材料の取引先に対しては、品質保証体制の審査(新規委託時、定期審査、臨時審査)及び品質管理活動の指導(定例会の開催、工程パトロール等)を行い、受入品における品質の管理及び維持向上に努めています。
(8)教育・研修及び訓練
 当社は、「新日本無線の発展と、社員個々人の成長に資する教育を展開する」という教育理念のもと、全ての部門・階層の社員について教育・研修及び訓練を実施しております。教育計画については、OJT、Off-JT、自己啓発を三本柱とし、階層教育、専門教育、実務教育、品質管理教育、指定職種教育、実務教育等を計画的に実施することで、業績向上をめざす実務型研修を主体として、企業内外の環境変化に対応させて展開しています。
(9)小集団活動
 当社は、QCサークル活動が自己啓発・相互啓発のトリガーとなり、活動を通じて得られた品質意識、問題意識および改善意識が会社発展の為の重要なパワー源と成るべく、TQM活動の一環としてのQCサークル活動を推進しています。QCサークル活動においては、職場内の小グループがQC手法を活用し、製品、サービスおよび業務の質の向上と改善を、自主的な運営により継続的に行っています。
(10)内部品質監査
 品質活動とその結果が計画に合致しているかどうか、並びにこれらの計画が有効に実施され目標達成の為に適切なものであるかどうかを定期的に測定する為、品質監査員から編成された監査チームによる品質監査を行っています。
(11)品質記録の管理
 当社では材料、物品の受入から製品の出荷までの工程中において実施した品質保証活動、外注工場に対して行った品質審査活動並びに顧客による品質審査の受審等、品質に関する活動の記録全般を品質記録と定義付けしています。これらの品質記録は要求品質の達成及び品質マネジメントシステムの効果的な運用を立証する事を目的としており、その目的が十分果たされるよう保管・管理について詳細に規定しています。
(12)文書体系について
 当社における品質マネジメントシステムを構成する文書体系は右図に示すとおりです。ISO9001における要求に基づき、システムを構成する全部門において、効果的な計画、運用及び管理を確実に実施するために、品質マニュアルを頂点とする全社・部門の品質規定、手順書・規格・図面等、各種文書を作成、運用しています。









図2 工程内管理の一例
3.信頼性試験
 信頼性試験は、新製品開発時、変更品認定時、プロセス認定時に定められた項目について試験を実施し、目標とする信頼度が盛込まれていることを確認することにより、当社の半導体製品の信頼性を保証するものです。当社の標準的試験方法の一例は、表1(バイポーラ、C-MOS、GaAs)、表2(前処理条件:バイポーラ、C-MOS、GaAs)、表3(光半導体)に示すとおりです。

表1 信頼性試験例(バイポーラ、C-MOS、GaAs)
試験項目
試験方法
EIAJ ED-4701
試 験 条 件
高温保存試験
201
Tstgmax,1000h
低温保存試験
202
Tstgmin,1000h
高温高湿保存試験
103
85℃, 85%, 1000h
連続動作試験
101
Tj=Tstgmax, 電圧=最大定格, 1000h
高温高湿バイアス試験(THB)
102

85℃, 85%, 電圧=最大定格, 1000h

(前処理 1 実施)
飽和蒸気加圧試験(PCT)
-
バイポーラ、C-MOS

121℃, 2.03×105Pa, 100%, 100h

(前処理 1 実施)
GaAs

121℃, 2.03×105Pa, 100%,40h

(前処理 1 実施)
はんだ耐熱性試験
301
はんだリフロー:ピーク温度260℃×2回
(前処理 2 実施)
熱衝撃試験
307
0℃ 5min ~100℃ 5min10サイクル
(前処理 1 実施)
温度サイクル試験
105
Tstg min 30min~25℃ 5min~Tstg max 30min, 100サイクル
(前処理 1 実施)
はんだ付け性試験
-
Sn-37Pb:230℃, 5s(非活性フラックス使用)
Sn-3Ag-0.5Cu:245℃, 5s(非活性フラックス使用)
(前処理 3 実施)
静電破壊試験
-
バイポーラ、C-MOS C=100pF, R=1.5kΩ, 試験電圧 V=±1000V
GaAs C=200pF, R=0Ω, 試験電圧 V=±50V


表2 前処理条件(バイポーラ、C-MOS、GaAs)
1
ベーキング :125℃, 16h→
吸湿 :85℃, 85%, 168h →
はんだリフロー :ピーク温度 260℃×2回
2
ベーキング :125℃, 16h→
吸湿 :85℃, 85%, 168h →
3
PCT :105℃ 100% 4h


表3 信頼性試験例(光半導体)
試験項目 試 験 条 件
連続動作
Ta=25℃ IF=最大定格電流 VCE=最大定格電圧 1000h
高温保存
Ta=Tstg max 1000h
高温高湿保存
60℃ 90% 1000h
はんだ耐熱 260℃ 10s 浸漬部本体より1.5mm
温度サイクル
Tstg min(30min)~Tstg max(30min) 気相 20サイクル
はんだ付け性 230℃ 5s フラックス使用 浸漬部本体より1.5mm
静電破壊 C=200pF R=0Ω V=1kV
端子強度(引張り) 5N 10s/各端子


4.クレーム処理
 お客様に出荷された半導体製品が万一故障となった場合は、営業部門を経由して故障製品は工場に返却されます。
故障原因調査は主に品質管理部門が担当しますが、アプリケーションの問題等、内容によっては設計・技術部門が担当します。設計・技術部門が担当し調査した結果についても全て品質管理部門にフィードバックされ、品質管理部門にて総合的な判断をした上で、調査結果をお客様にご報告するシステムとなっています。
また、更にこれらの調査結果については設計・技術・製造部門にフィードバックし、再発防止および品質向上に役立てております。

図3 クレーム処理ルート 図4 故障解析手順